今回参拝した神社…畝火山口神社(おむねやまじんじゃ)
・畝火山口神社について
畝火山口神社は大和三山の一つ畝傍山に位置する神社である。名前に「火」が入るのは、古代から畝傍山が火山であると信じられていたかららしい。
歴史は古く正確な創建年代は不明だが、少なくとも大同年間(9世紀初頭)とみられ、『日本三代実録』『延喜式』などの文書には既に名前が出ている。主祭神は神功皇后・豊受比売命・表筒男命。神功皇后(気長足姫命)と筒男命の二柱の関連で住吉大社との関連が深く、大社で使う土器の原料たる土を畝傍山で採取する儀式が行われる。
元々は現在地に近い畝傍山の西側にあったようだが、戦国時代には山頂に遷座し、昭和になってからまた山麓へ、という移動を繰り返している。昭和の移動は所謂国家神道と軍国主義が手をつないだ結果らしいが…橿原神宮・神武天皇陵の整備にあたっては、この種の黒い話が付きまとっている。
旧社格は県社。昭和の遷座が行われたとき、代償として郷社から昇格したという。
では神社について見ていこう。
・鳥居
左右に神社の案内版がある。右側のものは写っていないが、神社の正しい読み(おむねやま)や祭神、ご利益についての説明書きがされている。神功皇后が主祭神なので、子宝・安産の利益があるとか。
・手水舎
手水舎には神紋が付いている。近くに公衆トイレがあるのだが、ここの手水で手を洗わないよう注意書きがある。そのトイレに水の出る蛇口はなかった。
・祓戸大神
穢れを祓ってくれる神様。鳥居をくぐった後、しばらく進んでから右側にある。いろいろな祀り方があるものの、こちらでは神木として祀っているらしい。
・その他摂末社
こちらは祓戸大神の反対側にある。一番左のほこらは何が祀られているか未詳。訊ねようと思ったら、朝のお勤めの最中で訊けなかった。
その他六柱については木札で名前が分かった。左から順に、高良神社・八幡神社・厳島神社・春日神社・埴安彦命神社・大山祇命神社。Wikipediaなどでは本来の主祭神は大山祇命だとされるが、本当だろうか。
・拝殿
拝殿はよくある(?)神楽殿等と兼ねたタイプか。神社建築に詳しくないので詳細は未詳だが、中には奉納された扁額や絵馬が飾ってあった。一見の限りでは主祭神の神功皇后と武内宿禰関連のものがいくつかあった。かすれているものも多いが…
・本殿
拝殿の後ろが本殿である。なかなかバランスの良いと感じる大きさだった。中を覗いて見ようとも思ったが、不敬だし儀式の最中だしで思いとどまる。
・子授石
神功皇后にはのちの応神天皇を身ごもったまま朝鮮半島に遠征し、帰還した後でお産をしたという伝説がある。ゆえに上述の通り子宝の神として信仰されているケースが多い。ここも例外ではなく、触ると子供を授かるという石が置かれている。
・遷宮五十年記念の馬
これは遷宮五十年記念に、奉賛会が奉納した馬である。ちょうど子授けの石と対になるようなところにある。出来はかなりよい。
・おわりに
畝傍山近辺は飛鳥地域にあたり、山周辺だけでもたくさんの神社がある。一日で飛鳥を制覇するのは難しいが、畝傍山だけに絞れば半日で何とかなるので、ぜひチャレンジして欲しい。前に書いた安寧天皇陵と神社からも近いぞ。