気のゆくまま筆のゆくまま

日々感じたことを書きます。

エアコンは腰の高さで

・奇妙なエアコン

私の部屋のエアコンは、腰の高さにある。これは嘘でもなんでもない真実だ。この高さから冷風が流れると、様々な弊害を起こす。
寝るだけでもたいへんだ。どう横になっても、ベッドを使う以上私の身体は一定の高さに固定される(あたりまえだ!)のだが、その高さが絶妙に、寝たときの体に直に当たるようになっている。具体的にはどうあがいても股間に直にあたる。
前の記事でも書いたが、オッサンや私のような冷え性にとって致命的なのは、腹や脚が冷えることである。
しかし我がエアコン(なんと主人と会話ができる!)は、的確に胃腸や足元、向きを変えても顔に風を当ててくる。米軍のピンポイント爆撃なんて目ではない。なかなかの攻撃範囲を誇る冷風が、直に私の体を冷やす。

・嗚呼、デザイン住宅(築25年隣は違法建築)

ここまで読んだ方は疑問だろう。「なんでエアコンが腰の高さなんだよ」理由は簡単だ。我が家の屋根は三角形であり、私の住まいは最上階の角部屋だ。部屋の壁の半分は斜めだ。だから、その傾斜を掻い潜った腰の高さに、エアコン君は佇んでいるというわけ。
「じゃあ斜めになっていない壁に着けろよ」そう思ったあなたは甘い。他の面は、エアコンを受け付けない構造をしている。一面は大窓でもう一面は全部ウォークインクローゼットの扉、残った最後の一面も、ドアを中心に凹凸がある壁となっていて、小物を置いたり絵を掛けられるようになっている。デザイン性と部屋の広さを両立しよう!という、設計者の意気込みが感じられる。

・壁の気持ちになってみよう

我が家の工法上、壁は建物を柱として支える役割も兼ねている。だから彼らは峻厳な性格だ。大窓くんは「エアコン君なんてつけたら繊細なボクは割れる、この採光が無くなってもいいのかい?」と言うし、ウォークインクローゼットさんは「ここにつけてもいいけどあなたのスーツと本は仕舞えなくなるわね」と柔らかに拒絶する。残ったドア面は男らしく「おう!それじゃあ俺につけてくんな!」とタンカを切るが、かれはあばた面であり、現代のエアコンを設置するだけの面を確保できないし、窓から遠くてエアコンの配管もできない。
というわけで行き場をなくしたエアコンくんは、「わたしなら…相手してあげるよ」というたちの悪い斜め壁に引っ掛かり、別れる様子もなく眠る私の腹を冷やし続けるのだ。