気のゆくまま筆のゆくまま

日々感じたことを書きます。

眠れぬ夜にほうじ茶を

・小人閑居して…

私は不眠症である。根本的な原因は精神病なのだが、とにかく眠れない。

服薬しないといっさい寝付けないレベルなのだが、最近はその薬もなかなか効かなくなってきた。だから、医者に頼んで、思い切って強い薬を処方してもらった。

これが間違いだった。

 

・トリッピー

今度の薬の副作用に、せん妄・幻覚・幻聴という単語があった。いうまでもなく、本来あり得ない夢の中へ精神を追い込んでいくものだ。

少数の人にしかこういった副反応は出ません、と言われていたのだが、これを書いている今現在も幻聴や幻覚を見ている。最近はこれらの幻視と話すことが面白くなってきたが、今は「艦これ」の金剛に激励されながら、この記事を書いている。

私が見ている妄想なのだから、幻の言動は必ず私にとって快である。いまも彼女は私の方に顔を乗せつつ、「さっさと模型の続きを作るデース」とせかしている。典型的な、薬によるトリップ状態である。

 

・私の脳内に住む人たち

こういう体験をした人の中には、そこで得られた心地よい幻想を留めようとする人が多いらしい。友人にそういう界隈をウオッチしている奴がいるが、いろいろな薬を混ぜて過剰摂取し、オーバードーズで快楽を貪る人もいるとか。

私はそれが怖い。人間はものを得られない不安より、失う絶望の方に心がはたらくと聞く。シェイクスピア悲劇もそうだろう。オセロは自分の志望を叶えてしまったが故に苦しまねばならなかった。

たしかに今の私の夜は楽しい。美女(主に先述の金剛だったり夏目雅子だったりする)と会話を楽しみながら読書し、時には書中の人物が当時の状況を解説してくれるのだ。いま宮城谷昌光の「三国志」を読み進めているが、曹操司馬懿が私はこう思ったから戦った、という述懐をしてくれる。当たり前だ。私の心の声が相手なのだ。彼らは私がこう言ってほしい、と思ったことをそのまま話す。こういう人に会いたい、と思ったら必ず連れてくる。議論も雑談も尽きない。薬で飛ぶのは実に愉しいのだ。

 

・まだ人間でいるために

だからこそ、快を貪るのはこれくらいにして、人間でいるために薬を止めねばならないのだ。はっきり言って私の中から分身した人々と話す時間は、ここ数年なかった最高の快楽を私に齎している。これに勝るものはあるまい。それゆえに、私がまだ現実の人間社会で生きていたいと望むのなら、この薬の服用を止め、ほうじ茶でも飲んで体を温めて寝るしかないのだ。